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ホーム > [地方統計職員業務研修]調査の設計と結果の活用~幸福度に関する調査などを事例として~

統計センターしずおか

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幸福度に関する指標について

所得だけでなく、国民の健康や教育、文化の多様性など多面的な観点からより一層の幸福の実現を目指す国、ブータン。
ブータンでは、GNH(国民総幸福量:Gross National Happiness)という指標で国民幸福度を測っています。
日本でも、国民幸福度への関心が高まり、2011年12月に内閣府が「幸福度指標試案」を公表しました。

地方統計職員業務研修(専門研修)では、この指標試案を検討した内閣府「幸福度に関する研究会」のメンバーである静岡産業大学経営学部の牧野准教授を県庁へお招きし、2012年5月28日(月曜日)に「調査の設計と結果の活用~幸福度に関する調査などを事例として~」と題して、ご講義いただきましたので、紹介します。

研修写真

講義の概要

GDPと幸福度の指標

現在、国や地域の経済成長は一般的にGDP(国内総生産:Gross Domestic Product)で測られています。GDPを一指標として含むGDP統計(国民/県民/市民経済計算)は付加価値の生産・分配・支出という経済循環を体系的に捉えていること、国連のSNA(System of National Accounts)に基づくため、過去や地域間の比較が可能であることなどいくつかの利点を持ちます。

GDPはそのような特徴を持つ一方、フローのみを対象としているため、ストック(資産)があってもそれを考慮しない点や、健康状態や自然環境の改善/悪化などを対象としないこと、家事や介護・育児などを担う無償労働の価値を対象としないことなどいくつかの限界も有しています。

そこで現在、検討が進められつつある幸福度の指標は、所得だけでなく、人々の健康や自然環境の状態なども対象とします。
個人的には、幸福度の指標は国民の幸福を直接とらえた指標というよりも、国民の幸福に影響を与えると思われる多面的な指標を体系的に整理したものと考えています。またそれがGDPに代わるものかと言えば、必ずしもそうではなく、GDP統計には前述のような利点があり、分析目的に応じ、両者を使い分けるべきと考えています。

さまざまな幸福度に関する指標

<国際組織や各国で整備されている幸福度に関する指標>
 

指標名等

特徴・構成指標

国連開発計画 人間開発指数(HDI:Human Development Index)(外部サイトへリンク) 対象国が多い。
健康(平均寿命)、教育(平均就学年数、予測就学年数)、生活水準(一人当たりGNI)

OECD
BLI(Better Life Index)(外部サイトへリンク)

11分野21指標、36カ国を対象

フランス スティグリッツ委員会報告(外部サイトへリンク) 物質的生活水準、健康、教育、仕事を含む個人的活動、政治的発言力と統治、社会的つながりと関係、環境、安全安心
ブータン GNH(GrossNationalHappiness)(外部サイトへリンク) 心理的幸福、環境多様性、健康、教育、文化、生活水準、時間利用、コミュニティの活性、統治

出所:内閣府「第1回幸福度に関する研究会」資料より一部抜粋

国連開発計画の人間開発指数(HDI)は健康、教育、生活水準の3つの分野から成り、それらを集計した“単一指標”を算出します。
ブータンのGNH(国民総幸福量)には9つの次元があります。次元のひとつは「心理的幸福」であり、その構成指標の中には祈りや瞑想の回数など「精神指標」があります。
このように、幸福度の指標は、それぞれ構成指標や集計の仕方などが大きく異なります。また幸福度の指標のなかには単一指標への集計を行わないものもあります。


わが国では、1974年の社会指標(SI)以降、時代に合わせて4つの関連指標が作られました。

<わが国における指標化の取組>

関連指標

時期

背景

社会指標(SI) 1974~84年 公害や人口集中など高度成長の負の効果が明らかになり、貨幣的指標への過度の依存から転換するときであると判断された。
国民生活指標(NSI) 1986~90年 高度成長期の終了とともに高い生活水準や価値観の変化に伴って生活様式の多様化を図る必要があった。
新国民生活指標(豊かさ指標)(PLI) 1992~99年 80年代後半、人々が豊かさを求めるようになった。
暮らしの改革指標(LRI) 2002~05年 豊かさを実現する国民の視点に立って、構造改革をみていく必要があった。

出所:内閣府「第1回幸福度に関する研究会」資料より一部抜粋

いま、検討している「幸福度指標試案」では・・・

このような国際組織や各国の指標、またわが国で取り組まれてきた指標と比較すると、いま内閣府で検討している「幸福度指標試案」は、主に次の4つの特徴があります。

  • 経済社会状況、心身の健康、関係性という3つの柱及びそれらを支える持続可能性という分野からなり、全体として132の指標を持つこと
  • 上記は指標群であり、単一指標への統合を考えていないこと
  • 客観的な指標だけでなく、主観的な指標を含むこと
  • 幸福度に影響を与える要素は、ライフステージにより異なるとしていること

統計学的な調査の設計やその結果の見方

次に、内閣府が2012年3月に実施した「生活の質に関するパネル調査」を例に、調査票の設問を作るときの注意点や、標本の大きさと統計の精度の関係、結果を読み取る際に陥りやすい注意点、日本人の回答の傾向などについて説明いただきました。

具体的には、調査単位を個人にするか、世帯にするかなど回答する人を意識した質問の設定が大切であることや、「総じて満足しているか」などの総合評価については、感性を重視したい場合はそれを最初の設問にして、客観性を重視したい場合はそれを最後の設問にするとよいことなど、実際の調査の設計に大いに役立つ内容でした。

最後に、日本国民が持つ幸福感の特徴などについて、「生活の質に関するパネル調査」の結果に基づき説明がありました。
とても不幸を0点、とても幸せを10点とした「現在の幸福感の分布」では、日本人の場合、8点と5点に山がある“バイモーダルな分布”になることなどが示されました。また、結果のグラフをみると、子どもの数が多いと幸福感が高いように見えるが、その因果関係については検討が必要であり、さらに子どもの数と幸福感にともに影響を与えると思われる所得などの“第三の変数”についても考慮する必要があると話されました。

今回の研修では、日頃、統計調査の設計や実査などに携わる職員が、“国民幸福度”という話題のテーマで統計がどのように活用されているかについて、実際の話を聞くことができ、大変有意義なものでした。
特に調査の設計や結果を読み取る際の注意点などについては実践的なものであり、研修内容を今後の業務に活かしていきたいと思います。